2006年08月19日

加藤紘一氏の実家に放火:これは国民全体に対する挑戦である



この事件は単に影響力のある政治家を狙った、古典的かつ偶発的なテロ事件ではないような気がします。これは利権争いであり、かつその政治的効果を狙って、周到に練られた事件だと思います。

自分は左翼じゃないから大丈夫などと安心していてはいけません。ターゲットは国民全体に向けられているのです。
まず、私はこの事件をはじめから裏があると考えています。本当に加藤紘一本人を狙ったテロなら、こんな中途半端なやり方はしないはずです。彼らはプロだ。殺すとなったらきちっと殺す。それは民主党の石井議員が刺殺された事件でも明らかです。

無人の家に忍び込んで火を放ってそこで切腹自殺、三島由紀夫や野村秋介じゃあるまいし、過剰に芝居がかかっています。つまり、これはわかる人にはわかる何かのメッセージだと思います。

犯人は右翼団体に所属しているといいます。しかし、そこまでわかっていながらどこの団体か報道されません。口止めがかかっているのです。零落したとは言え被害者は仮にも与党の国会議員です。それでも報道を止める力があると言うのはよほどの大物が絡んでいるとも言えます。


私はこの前も記事に書きましたが、もはや自民党は政党の体をなしていないと思っています。単に利権に群がる強欲集団です。ヤクザと同じといったら、本物の任侠人に失礼に当たるくらい、卑怯で汚い集団に成り果ててしまいました。

これは政治テロを装った利権争いです。私はこの事件の背景は、日経富田メモ事件によく似ていると思っています。つまり、政権の左シフトです。


小泉首相や安倍さんは対中強硬派を装っていますが、この時代中国と喧嘩して得することは何一つありません。彼らに思想などはありません。目先の欲しかありません。やせ我慢しているだけなのです。

まして最も重要なことは、次のアメリカの大統領は民主党から選ばれる可能性が非常に高いという観測です。民主党といえば、同盟国の日本より中国びいきで有名です。

いつまでも中国と断絶状態を続けていると、アメリカにいつ寝返られるかわかったもんじゃありません。だから、アメリカに対して敵意のないことを示すためにも、中国と仲良くしなければいけません。なんだか情けない話ですが。


しかし、対中強硬姿勢で国民的人気を保ってきた小泉=安倍路線ですから、そうは簡単に路線変更はさせてもらえません。そうこうしているうちに利に敏い二階さんや古賀さんが擦り寄ってきました。

彼らが見ているのは、安倍さんの次。今は国民的人気の高い彼について力を温存しておいて、いざとなったら寝首を掻こうと思っているに違いありません。

ところで安倍さんはどうか知りませんが、森派の手だれはそんなにヌルくありません。そんな古だぬきどもの魂胆など百も承知です。そこで、懇意にしている住吉会にお願いして先手を打ったのが今回の事件です。

いいですか、もはや自民党は昔の自民党ではないのです。権力の維持のためなら平気で売国もすれば、邪教とでも手を組むのです。


そうは言ってもここで二階や古賀を狙い撃ちにしてしまったら、せっかく何人も子分を引き連れて協力してくれるといっているのにちょっと具合が悪い。彼らを今の立場に釘付けにしておいて、しかも利権漁りは自制してもらわなくてはならない。

そこで白羽の屋が立ったのが、加藤さんです。加藤さんは総裁候補といわれたこともあり、ニュース性は抜群です。しかし現在、党内における力はほとんどありませんから、ここで彼をどうしたところで党内のパワーバランスに変化はありません。


結果。加藤さんが自民党のはぐれ狼なのは変わりませんが、これで国民の意識は確実に左シフトさせることができます。犯人の所属集団の固有名詞がわからないのに、右翼団体だという事だけはなぜか、知れている。そんなバカな話がありますか。

右翼にもいい右翼と悪い右翼がいる事くらい、こんなブログをやっていれば常識。しかし、普段テレビしか見ない一般国民にその違いなどわかるはずがないでしょう。

一方、加藤さんはどう転んでも失うものは何もありませんが、彼以外の媚中派といわれる人たちは、これで肝を冷やした事でしょう。今やヤクザと変わらない党執行部が仕組んでいる事くらい、きっと気付いた事でしょう。

今や森=小泉=安倍体制は派閥の創始者岸信介以来連綿と引継がれてきた暴力団との難い絆を十二分に利用して、権力を欲しいままにしているのです。いざとなったら、暴力団を秘密警察代わりに使う事ができるということです。

いくらなんでもこれは権力者にとっては禁じ手であるはずですが、彼らにはそんな美学など持ち合わせていないのです。しかし、彼らにこんな力を与えてしまったのは、他ならぬ私たち自身であった事を忘れてはいけません。



そしてもう一つ。これは考えようによってはもっと警戒すべき点かもしれません。それは、日本社会にテロの恐怖を演出する事です。


今回の事件の直後、一部のブログでこの行為を肯定・賛美するような記事が書かれていました。そして、そこに非常に多くの支持者が群がっていました。それで私は思いました。


大衆は、血に餓えている。破壊願望に身を焦がしている。

現在の経済状況に対する不満。そして、将来に対する漠然とした不安。


このはけ口を、テロによるカタストロフィに求めようとしています。あたかも、スポーツでも観戦するように。

この事件は、そのための呼び水です。


権力者の望んでいる事は、日本中に扇動者を多数放って、社会を混乱の極みに陥れることです。そして逆に、社会に対する国家権力の介入止むなしという雰囲気を醸成する事です。

現に今回の事件、少なからぬ人たちが人の不幸に大はしゃぎしています。そして一方では、それに逆に煽られてテロだと過剰に反応しています。こんなことがあと二三回続いて、マスコミに騒がせれば、共謀罪なんてなんの苦労もなく成立してしまうでしょう。

いや、共謀罪どころの話ではないかもしれません。背後に中国がいるの北朝鮮がいるのと噂を流すだけで、国民は徴兵制にすら受け入れてしまう可能性すらあります。


そうして、戦争までずるずる持っていかれてしまったのが、昭和初期の私たちではなかったですか。二二六事件は、純粋に国の将来を憂える青年将校たちによって引き起こされたと聞いています。少なくとも私はそう信じたいです。

しかし、結果はどうなりましたか。決起した若者たちは全員処罰され、その結果だけを、政府や軍の上層部が利用して、国民に対する統制を強化していったのではないですか。

あの歴史を、私たちはもう一度繰り返そうとしているのではないでしょうか。避けられたはずの戦争に、なぜかわからないうちに引き釣り込まれて行ったあの戦争に。


幸い日本は、まだまだ豊かです。治安だって全然悪くない。だから私たちは、浮き足立ってはいけません。自分の常識を信じて、粛々と普段通りの生活を送る事が大切なのです。

混乱を起こす事、それが彼らの最大の狙いなのですから。

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この記事へのコメント
割腹(?)男性が所属している右翼団体についてですが、日経新聞には、一応 「 大日本同胞社 」 との記述があります。
http://asyura2.com/0601/senkyo25/msg/511.html

ただ、テレビからこの名前が聞こえてきた事は、今のところ一度もありません。

それ以上に、この事件を “ フツー ” に、起こって当たり前のこととして受け止めている、日本の空気が空恐ろしいです。このまま本当に “ アメリカのための戦争 ” までずるずる行ってしまうのでしょうか…。
Posted by いいげる at 2006年08月19日 22:33
いげるさん
コメントありがとうございます。

団体名が出ないのは、単にマスコミがヘタレだからかもしれません。会社の前で街宣なんてされたらたまりませんからね。記者はジャーナリストである前に、サラリーマンですからね。

とまあそれはともかく、私はこれでいいのだと思っています。というのは、多くのブロガーさんが言っているじゃないですか?小泉=安倍政権は弾圧志向だって・・・

しかし、テロに国民が過剰反応して、自ら政府に対して、取り締まってくれと言い出したら、飛んで火にいる夏の虫じゃないですか。

さっそく、加藤紘一の自作自演説と、総連黒幕説がネットに流れています。もし国民がこの事件を北の工作と信じて騒ぎ出したらどうなりますか?

日本にはイスラエルと同じ運命が待っています。それこそ誰かの思う壺ですよ。

だから第一ラウンドは、暢気な庶民の勝ちということです。マスコミの及び腰が幸いしたかもしれません。
Posted by 非国際人 at 2006年08月20日 12:28
早速のご返信、ありがとうございます。

言葉が足りなくて申し訳ありません。僕が言いたかったのは、僕の友人・知人の間に、テロを消極的に容認するかのような認識が広がっている事です。「加藤紘一はあんな事を言っているんだから、こんなことになってもしょうがないんじゃない?」という。テロに強い嫌悪感を示しつつ、その一方で、言論の封殺を、無意識に当然視しているのです。

自作自演だと言ってみたり、また「小泉=安倍政権は弾圧志向だ」などと言っているのは所詮ごく一部で(僕は反小泉をうるさく唱えるので、煙たがられつつあります(^^;)、僕の周りの20代では「北朝鮮がああだから仕方がない」「アメリカがああだから仕方がない」「仕方がない」「仕方がない」で結局小泉支持、というのが多数派です。

今回の一件は、騒がないのが正解なのかも知れませんね。ただ、政治にさして関心をもたない、一番数の多い層が、このままズルズル安倍支持&戦争容認、に行ってしまわないか不安です。既に「郵政解散」という混乱に踊らされ、しかも彼らは、どうもまだ踊っています。
Posted by いいげる at 2006年08月20日 23:39
いいげるさん。再コメントありがとうございました。

>政治にさして関心をもたない、一番数の多い層が、このままズルズル安倍支持&戦争容認、に行ってしまわないか不安です。

庶民を軽く見てはいけません。私は庶民は意外としぶといんじゃないかと思ってます。食えるうちは、まだ大丈夫です。人間は、意外とずるい動物です。

世界中には治安も経済状態も日本よりずっと悪くて、政治家の質もさらに悪いのに、戦争せずに済んでいる国の方がずっと多いです。そういう広い目で見れば、今回の茶番劇を仕組んだものと、それに乗って騒いだものの愚かさがわかるというものでしょう。

庶民はブロガーほど、バカではありません。
Posted by 非国際人 at 2006年08月22日 21:17
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