巨人の松井ではなく、当時松井がたまたま入団したのが巨人に過ぎなかっただけの話です。
そして、私が更に松井を評価したのは、巨人を出て、アメリカに渡ってからです。正直言って、私は、あれほどの選手でも大リーグの本場では通用しないのではないかと怖れていました。
なぜなら、松井は正統派の野球選手だったからです。松井と比較すれば、野茂もイチローも所詮日本人であることを売り物にした際物だと思います。
体格で劣る日本人が、本場の大リーガーと伍して戦うためには、外人には真似のできない一種の「芸」が必要なのだと私は無意識に思っていました。それが野茂のあの投げ方であり、イチローの振り子打法なのです。
しかし、松井にはそんな芸はないので、本当に通用するのか心配でした。しかし、まともに野球をして、通用してしまいました。これは、なかなか爽快なカルチャーショックでした。
人の裏をかくような小技を使わなくても、日本人が、普通に外人と戦っている。これが、爽快でないわけがありません。松井の活躍は、私のように、不器用で疎外されているものにも、希望を与えてくれます。
王や長島も、大リーガーとまともに勝負したわけではない。だから王さんのホームラン記録にしても、ちょっと後ろめたかったりする。しかし松井は、まともに戦っている。これを素直に喜びたいと思います。
あの怪我の瞬間の映像を目撃したとき、ああこれで松井の大リーグ挑戦も終わったかも・・と思ってしまいました。それだけに今回の復帰は本当にうれしいです。
これからも、サッカーや五輪代表なんかよりも、はるかに私たちの期待に応えてくれる松井選手の活躍を応援して行きたいと思います。
戦列復帰の松井、4の4大活躍 - MLBニュース : nikkansports.com
<ヤンキース12−4デビルレイズ>◇12日◇ヤンキースタジアム
【ニューヨーク(米ニューヨーク州)12日(日本時間13日)=千葉修宏】左手首骨折から戦列復帰したヤンキース松井秀喜外野手(32)が、デビルレイズ戦に「8番DH」で出場した。5月11日の骨折から124日、111試合ぶりのメジャー戦だったが、4打数4安打1四球と固め打ち。9年連続地区優勝マジックを9とする12−4の快勝に貢献した。松井の復帰にファンはスタンディングオベーションを繰り返して祝福した。キャッシュマンGMは早くもポストシーズンでの活躍を示唆した。
予想していなかった。「ちょっとびっくりしましたけど、非常にうれしかったですね」。1回裏、1死一、三塁。猛攻で初回に早くも打席が回る。「マツイ」の名前がコールされると、5万2265人のファンがスタンディングオベーションで、背番号55を迎えた。鳴りやまぬ拍手と歓声。連続するカメラの閃光(せんこう)。揺れる「GODZILLA RETURNS」のボード。そうせざるを得ない雰囲気に、松井は打席に入る前にヘルメットを取って、軽く応えた。
ヤンキースタジアムの視線を一身に浴びて、カウント2−1から、相手先発コーコランの80マイル(約129キロ)低めスライダーを強振した。「かなり詰まって、骨に悪そうな当たりでしたけど、良いところに落ちてくれました」。冗談も出た復帰第1打席は中前適時打。これだけで終わらない。3回に低め直球を鋭いライナーで右前へはじき返すと、4、6回にも中前打。4月3日開幕戦以来となる4安打固め打ちに、ファンは熱狂し、トーリ監督、ナインは驚いた。
ヤンキースタジアムとニューヨークが後押ししていた。松井はこれまでフリー打撃時からスイングが安定せず、バットが振れていないのは誰の目にも明らかだった。だが、最後は“自分の庭”が好調時の感覚を多少なりとも思い出させた。松井は「特別何かをやったというのはないんですけど、ピンストライプのユニホームを着て、ヤンキースタジアムでプレーするというのが良いふうに影響したのかもしれないです」と“見えない力”を口にした。
そして、成績が下がれば容赦なくブーイングの飛ぶニューヨークファンのスタンディングオベーション。まだ真のニューヨーカーとして受け入れられてはいないかもしれないが、ヤンキースでの自らの存在価値を体感させる、熱い声援に心の底から感激した。
慎重派のキャッシュマンGMも喜びを隠せない。相変わらず「まだ本調子に戻るまでの過程だし、多くを期待し過ぎるつもりはない」との前置きはあった。その上で「プレーオフの出場については、ジョーが最高のラインアップを考えるはず。でもあらためて言うけど、ヒデキはヘルシーで、大リーグでも有数の打者なんだよ」と語る。健康でありさえすれば、世界一奪回を目指すプレーオフに出場させることは当然という考えを示した。
トーリ監督も同様の認識だ。試合後「重圧の下でプレーする能力は教えられるものじゃない。チームに貢献するために一生懸命だし、結果より、そういう部分が大事なんだ」と絶大な信頼を示した。打順に関しては、上位打線が機能しているため、今後、数日間は「8番」で様子をみる。だが「今日は全部良かったですね。しっかりストライク、ボールの見極めができていたし、打つボールには手を出せていたし。僕の中ではまた新たな感覚だと思ってやっています」という松井は下位でも頼もしい。
5月に骨折した時、ニューヨークは初夏の風が吹き始めていた。9月半ばのこの日、ヤンキースタジアムには秋の気配が色濃く漂い始めた。戦列離脱した4カ月の長さを物語るが、松井は、以前と変わらぬ存在感を示した。「みんな驚いてくれていたみたいなんですけど、『実は折れてなくてただ休んでただけなんだ』って言ってやったんです」と、久々に再会したナインたちを笑わせたという。
スタンディングオベーションに、松井は「忘れられない瞬間だった」としみじみと振り返った。その感激を胸に、9年連続の地区優勝、そして00年以来となる世界一へ、欠かせない男は帰ってきた。