2005年09月28日

労使協調というペテン



そぞろ日記のエントリーで、トヨタの今回の選挙への異様なまでのいれ込みについての記事を読んだが、今日の森田実氏のサイトでも同じようなことが書いてあった。要約すると、トヨタのある愛知県は従来民主王国であったが、今回トヨタの、グループぐるみの運動で自民党が圧勝したというものである。

確かに、いままで政治とは距離を置いてきたトヨタの今回のいれこみ方は前例のないものであろう。このことに関連して、私が気になった幾つかの点を取り上げてみたい。

まず、上では「民主王国」と書いてあって、それは別に間違えてはいないのだが、私の世代では「民社王国」と言った方がわかりやすいし、より奥田会長の狙いがはっきりすると思う。トヨタの労働組合は、自動車労連という上部組織に属しており、それはかつて民社党の支持母体であった「同盟」の有力な加盟組織であったからだ。だから、旧民社党が民主党に合流した今でも、トヨタ及びグループの従業員は旧民社党の流れを汲む民主党議員を応援してきたはずだ。

ところで、「同盟」と言えば労使協調路線が有名である。つまり、「会社あっての労働組合」「ストのような手荒らことはしないから、会社も従業員のことを考えてください」という、よりマイルドな労働運動が身上で、旧総評系のように、やたらストばかりして経営者側を窮地に陥らせたりはしなかった団体である。しかし、労働者の利益を守るための団体なのに実態としては会社(特に人事部)の機能を補完するような、考えてみると変な組織だった。

それでも、最近までは曲がりなりにも少しずつ賃上げもできていたので、組合もそれなりの存在意義があったのだが、トヨタでは、もう3年連続賃上げがなかった。会社自体が一兆円の利益をあげているにもかかわらず、である。このことは、もはや組合が何の力も持っていないことの証明である。もっとはっきり言おうか。労使協調路線なんてはじめから嘘っぱちだったのである。占領下に作成された労働組合法を満たすために、形だけ組合は置いておくけれども、実質的なコントロールは会社がしていたのである。年に一度か二度行われる労使交渉など、労働者の目を欺くためのただの猿芝居だったということだ。それをはっきりと証明したのが、今回の選挙だ。友愛会議(同盟の後継団体)の立場はどこへ行ったのだ。まさか友愛会議自体が自民党候補を推薦したのではあるまい。

今回トヨタのなりふり構わぬ行動は、これまでの、財界の選挙応援という枠をはるかに逸脱しているのだが、表立って誰も批判できないようだ。それどころか、あれほど評判の悪かった愛知万博に、何時の間にか誰もクレームをつけなくなった。フィナーレに当たっては、これほどの成功はないと言うほどの持ち上げ方である。トヨタは絶対に、ある重要な取引を小泉と行ったのであろうと思う。しかし、あれほど儲かっていても従業員に1円足りとも分け前を回さないトヨタである。どうせろくなことではないだろうという予感がする。しかも、ここに来て小泉と組もうっていうのは、どういうセンスなのだろうか。彼には経済運営のセンスも、外交のイロハも備わっていないってことはわかっているであろうに。


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この記事へのコメント
日本の企業内労組の前身は翼賛会ですから。そこは共有しておきたい知識です。
Posted by takeyan at 2005年10月10日 00:31
社会科の教科書で教えてもらうような労働組合とは由来も理念も違うものだということですね。
Posted by 非国際人 at 2005年10月11日 12:11
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Tracked: 2005-09-28 17:11

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Weblog: そぞろ日記
Tracked: 2005-10-04 01:10
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