2005年10月21日

田中角栄の再評価



小泉首相ならびにその追随者たちの推し進める新自由主義を打破するために、今こそ田中角栄を再評価しようじゃないかという趣旨である。Speak Easy社会の真名さんがここに熱いエントリーを書かれているので、非力な非国際人でもその意気に応えたいと思う。

ちなみに真名さんの記事は、アルルさんのこの記事を下敷きにしているが、そのまた元になっている、立花隆の文章は8月11日付で、総選挙前に書かれたものである(8月23日の株式日記にも転載された)。その当時は日本中選挙一色で話題にもならなかったのだが、最近になって副島隆彦氏の主宰する掲示板で引用されたことから、それでアルルさんが記事にしたのだと思う。

詳しくは上にリンクされたどの記事を読んでいただいてもいいのだが、要するに立花は「日本ではアメリカの意思に反した総理大臣が生まれることは許されない」と言っているのである。こんなことは共産党でも世に倦む日日でも毎日のように言っていることであるが、それを立花が言ったという事が重要なのである。つまりそれは、彼を世に出すきっかけとなった田中金脈研究なるものも、アメリカの意思を受けて行われていたものに過ぎないという事を示唆している。

もちろん、立花は直接そんなことは書いていないが、立花の書いたものがきっかけとなって田中が総理の座を追われたのは私の年代以上の人なら誰でも知っている事実である。つまり、立花そのものがアメリカから田中の首を取るために放たれた刺客であったということだ。そんなことを今ごろこっそりと、郵政解散のドサクサに紛れて書いているのである。金丸信も竹下登も鬼籍に入り、橋本竜太郎も野中広務も鈴木宗男も失脚してしまった今ごろになってこっそり自白しているのである。


しかし、ならば、立花の犯した犯罪は日本という国家に対する許しがたい裏切り行為である。なぜなら、不世出の国民的政治家田中角栄を葬り去ってしまったからである。

もっとも、田中が失脚した時点では私はまだ小学生だったので、日本を狂乱物価に巻き込んだ悪い奴が自分だけ大金を手にしようとしたから天罰が下ったのだと、当たり前のように考えていた。

しかし今にして思えば、日本国民はこれによってアメリカから自立できる唯一のチャンスを自ら潰してしまったのだ。そう考えると、田中が死んだ直後の中曽根内閣の時代から対米従属一辺倒になったのも多いに納得がいくのである。(これは森田実先生も言っている拙エントリー参照

田中はアメリカのくびきを脱するために、対中・対ソ外交を重視した。この思想こそが、旧田中派の面々(野中広務とか、鈴木宗男とか)にきちんと引き継がれているのである。しかしそれすらも小泉首相によって見事なまでに粉砕されてしまった。

ちなみに小泉首相は、田中の仇敵であった福田赳夫の秘書上がりである。福田は岸派を継いでいたが、田中が元いた派閥領袖の佐藤栄作に後継者として可愛がられた。それに田中が叛旗を翻して結成したのが田中派である。佐藤の後継総裁としては最初福田が優性であったところを、田中は自民党の他の実力者をすべて自陣営に引き入れて打ち破った。このため福田は将来を嘱望されながら結局2年しか総理を務めることができなかった。福田の後継者安倍晋太郎(元外相、岸の女婿にて晋三の父)も、やはり田中派を継いだ竹下に遅れを取り、しかも早世したため総理になれなかった。

この怨念を引継いで総理になったのが、小泉純一郎である。また、先述したように小泉の派閥は岸派の承継派閥であり、対外的には伝統的に親米親台湾路線を取っていた(岸は戦前満州国の運営上きわめて重要な立場にいたため、戦犯とされたが、後にアメリカに見こまれて政界入りしてからは、ご存知日米安保条約を締結した張本人である)。このため、思想的にも全方位外交を掲げる田中の思想とは対立する。

しかし、田中角栄の思想は、日本の自主独立外交の先駆けとして、今こそ心ある国民の手によって引継がれるべきだと思う。アメリカからの輸入学門としての国際政治学ではなく(それはアメリカによって管理されるための学問だ)、我々日本人のための地政学を樹立するべきなのだ。


私はこれ以上詳しいことは書かない。これから先は真名さんのエントリーを読んで欲しい。読めば、私たちが失ったものがいかに大きいかわかるはずだ。最近の真名さんの書くものは、非常に気合が入っていて、読んでいるこちらまでその情熱が伝わってくるほどだ。このエントリーを書いてたのは、なんとかそれにお応えしたいと思ったからである。

真名さんは改革ファシズムを止めるブロガー同盟にかなり早い時期から参加されているが、いわゆる左翼の人ではない。なのでその行動は私のようなものも大変勇気付けてくれる。引き続き頑張っていただきたいと思う。


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この記事へのコメント
過分のおほめを頂き、ありがとうございます。 ブロガー同盟は、とりあえず新保守主義反対を意思表示するブログの「数」が増えた方が良いだろうと思っただけで、それ以上の意味はありません。 サヨクとかウヨクとかの「党派」を強調しすぎたためか、なんだか「党派」っぽくなってしまっています。 また、私は野中氏等は嫌いです。 角栄ををきちんと受け継いだとも信じていません。 そうなんでしょうか? 現在進行していることが「角栄の遺産」の後始末であることには同意します。 もう中国もアメリカとグルになっていると考えています。
Posted by 真名 at 2005年10月21日 10:58
田中角栄は、金権政治を蔓延された点では非とされるべきだが、アメリカの言いなりにならずに行動する点では是とされるべきだろう。

一方、小泉純一郎政権は、反角栄を掲げて当選した政治家でもある。この為に、「角栄の『負』の遺産を始末する」と美辞麗句を弄んでいるが、真の狙いは「角栄の『正』の遺産まで始末」して、「アメリカのカーボンコピー国家を建設すること」に他ならない。戦争神社靖国への参拝とか、日本の軍国化もその一環だ。従って、日本の淳風美俗を一挙に葬り去ろうとしているのだ。

角栄に限らず、歴代の自眠党(蔑)政治家はアメリカを崇拝する点は否めないが、それでも八方・十方からの思考ができる政治家であったとも考えられる。なんぼアメリカベッタリではあっても、小泉程の露骨さは無かったということだ。

ところが、小泉・竹中にはそれが無い。小泉の発想は典型的な二進法(単一の価値観で、白か黒か)で、「アメリカは何をやっても許される。順う者は残すが、逆らう者は消す!」っていう発想だ。今じゃアメリカ生保のCMの氾濫が余りにも酷いが、これは小泉政権になって現れた現象だ。井ノ原快彦じゃないが、「CMの間にトイレを済ませてね。」って言いたくもなる。

小泉政権の五十四箇月(=四年半)で、名実共にアメリカの傀儡国家に成り下がってしまった。
Posted by 安 直寛 at 2005年10月21日 14:22
リンクを有難うございます。
お礼まで。
Posted by 兄貴 at 2005年10月22日 23:57
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