2005年11月09日

再び日本が独立を失う日



米軍再編問題を考えると、すごく重たい気分になってくる。そこに動かしがたい国際社会の厳しい現実を見ざるを得ないからだ。しかし、逆に考えればありがたいとも言える。こういう機会がなければ私たちは、日本の置かれた国際的立場を正しく認識するチャンスなどそうそうなかろうと思われるからだ。

まずこの中間報告によって言われるのが、自衛隊と米軍との一体化である。あえてきつい言い回しをすすならば、自衛隊及び日本国の諸機関は米軍の手足として完全に位置付けられるという事だ。

これが、属国の現実というものである。


しかしそもそもこんな状況は、日米安保条約が発効した時点から想定の範囲内であったはずである。あれだけ安保に反対していた左翼は一体何をしていたのかと思う。沖縄など、地域の問題に矮小化させて、やった振りだけして、本質的な議論は避けてきたのだろう。

村山首相時代に社会党は今までの方針を転換させて安保を容認した、ということに公式的にはなっているが、嘘っぱちもいいところである。本音の部分では70年代半ば頃から認めていたはずだ。それぞれの基地のある地域の小さな問題という事にして局地戦をして見せてお茶を濁していただけだ。時々ポテンヒットで違憲判決が出たくらいでこの体制が覆ると本気で思っていたはずはない。


それは自民党ですら同じことではなかっただろうか。個々基地の対応に終始し、このスキームそのものを真正面から問題にすることはなかった。むしろ、本質を隠蔽しようとしていた。例外は、私が覚えている限りでは、鈴木首相時代の「日米同盟」問題と、中曽根首相の「不沈空母」発言くらいであろう。それも、二件とも当時のレーガン大統領によって、ついつい引き出された言葉ではなかったか。いずれも、世論(マスコミ?)の強い拒否反応にあって慌てて火消しを行って、米政府を大いに落胆させたはずだ。

しかしもう80年代にもなると、国民もうすうす、もう後戻りがきかないことに気づいていたと思う。しかし、誰も現実を見ようとしなかった。90年代になってから、国際貢献だの普通の国だの言い出したけれども、それにしても本質をごまかしていた。つまり、そもそも日本の独立と日米安保がワンセットであったということだ。戦争に勝ったアメリカにとって日本は「利権」なのである。宗主国の役に立つ限りにおいて存続を保証されているに過ぎないのである。


奇しくも今回の自民党の憲法改正案では、自衛隊を軍として認めようとしている。しかし、それと全く同時に、その自衛「軍」が米軍と一体化させられることが決められたのは、単なる偶然なのか?私たちの国を守るための軍隊が、なぜ米軍と一体化して行動しなければならないのか。悪い冗談である。

2005年。それは日本が再び独立を失った記念すべき年になるかもしれない。これでアメリカは安心して北朝鮮を攻めることができるだろう。なにしろ日本の自衛軍が先頭に立って戦ってくれるのだ。米軍の被害は最小限に抑えられるはずだ。つまり、日本列島は中国に対するアメリカの盾となって機能する。それが好むと好まざるとにかかわらず、私たちにつきつけられた現実というものではないのか。

願わくば、このような状況下で短慮を起こして中国ないし北朝鮮の兆発にはくれぐれも乗らないことだ。別にこれらの国々を嫌っても構わないが、戦争モードを煽るようなことはどうかやめて欲しい。日本がこれらの国と戦闘状態に入っても、得るものは何もない。積極的に煽るような人物はどこか怪しいと思うべきだ。

忘れてはならない。アメリカは日本に対して、使う必要のなかった原爆を2つも落としておきながらいまだ謝罪の一つもできない国なのである。あれだけ不当な軍事裁判をおこなっておきながら、いまだにそれが過ちだったとは頑として言わない国なのである。そんな国の軍隊が、どれだけ本気で我々をバックアップしてくれるというのだ。

それでも現実は受け入れざるを得ない。それは認める。しかし決して騙されるものか。


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この記事へのコメント
トラックバックありがとう御座います。 お書きになっている通り
だと思います。 あの頃のパワーを日本人はもう失ったのでしょうか。 官僚と政治屋が学生運動に
恐怖を感じ、急遽採った『愚民化政策』政策がそうさせたのだと思います。 義務教育の週五日制も
そうで、現場の教師が恐ろしくカットされた教科書の現況を嘆く記事を読んだ事があります。
学力の低下は激しく、かってトップクラスにあった筈の児童たちは後進国の子供達にも負けを取ってるのが現状、若者達も享楽に向かわせられ、メデイアも『愚民化』に協力、ホントに
嘆かわしい日本の現況です。
 どうか、外地にあって海外の意見、海外から観た日本を、今後もどしどし、厳しい批判の目
でどやしつけてやって下さい。
若者の、そして壮人の頭にどっと冷や水かぶせて、覚醒させて
やって下さい!! よろしく、
お願いいたします!!
Posted by 天使9879 at 2005年11月09日 06:27
 小林よしのりさんの発言で沖縄は親米・反日と書かれていると、地元新聞で芥川賞作家がメドルマ氏が批判している。
 反日と言うよりも以前の政治の筋道をきちんと通して欲しいと言うことなのですよ。単純な話で、地元の頭越しに交渉してきた戦術が沖縄だけでなく日本全国で起きています。
米軍基地が再配備される。各自治体の首長が何故口先だけの反論しかできないのが、それが「親日」なのでしょうか?
グアムへ米軍が引っ越す費用も日本政府が出す。(政府が出すんではありませんよ。税金ですよね。)
 日本の安全が必要なら、国家としてどうしようか そんな当たり前の議論をすべきです。それをこの30年怠って、いきなりの2005年はありえないのです。2005年を忘れるな!ですね。ホントに。
Posted by なかまた at 2005年11月09日 09:27
天使9879さま、長文のコメントをありがとうございました。
おっしゃる通り、今の日本には、批判的精神が衰微し、現状をひたすら追認するだけの無気力な態度が蔓延していると思います。
しかし、私は思うのですが、ネットを通じて、少しずつではありますが、意識の高い層が生まれつつあると感じています。
もっとも、ネットユーザーのほとんどが、現状追認と享楽にうつつを抜かしているのは事実ですが、かつて(私が学生生活を送った80年代とかは、本当にどうしょうもなかった)と比べれば、変わっていく兆しがあると信じています。
Posted by 非国際人 at 2005年11月09日 22:00
なかまた様、コメントありがとうございました。そもそもこのエントリーは、貴殿のブログのを拝見して、書かなければいけないと思った文章です。頭の中で形になるまでちょっと時間がかかってしまいましたが・・・
私は基本的な問題は、政府や政治家がこの問題について、国民にろくな情報を流してこなかったと言うことに尽きると思います。そりゃあ軍事ですからすべて丸裸って訳にはいかないでしょうが、何も知らせないっていう法はない。いつでもサプライズで、何かあったら金で解決する、そんなことを繰り返してきたから、すっかり住民感情がこじれてしまったのだと思います。
これまでは沖縄の特殊問題ということでなんとなく(沖縄県民には失礼な話ですが)ごまかされてきましたが、今回はそれが日本全土に広がるということで、結局国のやることは一事が万事そうなのだとばれてしまいました。
大切な国防の問題を、国民になんの相談もなしに頭越しで「決まったことだからしょうがない」と押しつける態度も傲慢ですが、そんな大事な時期なのに、今やる必要などない内閣改造なんかでお茶を濁している小泉さんの姑息さにも本当に腹が立ちます。どんなにかく乱されようが絶対書き忘れるものかと思って書きました。
Posted by 非国際人 at 2005年11月09日 22:27
とにかくタブーが多すぎて、軍事について合理的に語ることを実質的に禁じられているのが日本の政治家ですから、大した検討もなく、驚くべきことが決まるのだと思っています。
Posted by takeyan at 2005年11月10日 02:26
takeyanさま、コメントありがとうございます。ご意見ごもっともですが、それを言ってはおしまいだと思います。政治家はサラリーマンではないのです。お国のためと思えば勇気を持って発言すべきではないですか。それとも、政治家にそういうことを期待してはいけないのですか?
Posted by 非国際人 at 2005年11月10日 04:59
ちなみに、我々地方議員は世間やマスコミが叩くにはネタとして小さすぎますから、安心して言いたいことを言える環境があると思っています。
その点ゲリラのようなものですね。我々は。

国会議員に勇気を与えるのは、国民の論点を見抜く目であり、ネットはそのツールとしての力を持ちつつあると思います。
Posted by takeyan at 2005年11月10日 12:41
takeyanさま、再コメントどうもありがとうございました。
つまり、今までは国民がぼんやりしていたから政治家も国民に対して真正面から向き合うことがなかった、そういうことですね。
ネットがそんな、政治的に怠惰な我々の習慣を変える切っ掛けになることを私も期待しています。
Posted by 非国際人 at 2005年11月10日 21:43
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