2005年11月17日

フジモリ問題は日本に課せられた踏絵であろう



フジモリ氏の件については昨日書いたばかりだが、可能性としてちょっと気になることがあったので書きとめておく。ただ、あくまでも全くの憶測であるので、笑い話としてでも使っていただければ幸いである。

今回のフジモリ氏出国に至る一連の出来事を考えてみると、フジモリ氏の行動の大胆さもさることながら、日本政府の、かつて例のない主体的な行動が目立つ。

これについては、フジモリ氏が日系人であり、しかも大使公邸人質事件を解決してもらった恩人だからだという解釈が一般的であるが、何か不自然な感じも否めない。


そこで、こうは考えられないだろうか。日本政府及び、フジモリ氏の行動は、ある強大な力によって保証されている。つまり、アメリカ政府のお墨付きではないかということだ。

まず、フジモリ氏がペルーから追い出されたのは、人権外交を進めるクリントン政権の時代であった。

しかしながら、現ペルー政府は、全くいいところがない。

一方、テロに対して容赦のなかったフジモリ大統領のスタンスは、今のブッシュ政権に非常に近いものがある。

つまり、影からフジモリを支援して、劇的な復活を演出する。もちろんフジモリからは、その見返りの約束を取りつけてある。


ここで注目すべきは日本政府の役割である。日本政府が表に出ることによって、あたかも日本とペルーの二国間の問題であるかのように世間の目をそらすことができる。

また、亡命中のフジモリ氏の面倒を直接見ていたのは日本政府ですらなく、日本財団という民間団体である。理事長の曽野綾子女史が義侠心で引きうけたということになっている。

しかし、日本財団とは旧日本船舶振興会であって、故笹川良一氏の利権である、モーターボートレース賭博からの収益を管理する団体であることを忘れてはいけない。

公営賭博以外の賭博行為を禁止している我が国にあって、何故笹川氏という個人がそんな利権を持っているかというと、それは占領軍統治の時代に笹川氏が多大な貢献をしたからであるとされる。そしてその利権に日本政府は手をつけることができないのだ。

つまり、日本財団は日本財団という名前でありながら、実際はアメリカ政府の意向を強く反映した団体なのである。そこにフジモリの身柄が匿われていたということは、実質上アメリカ政府の監視下に置かれていたということに他ならない。

そして、それがアメリカの意向であるからこそ、日本政府は敢えて国際社会から非難されるような行為をすることができる、いや、しなければならないのである。


フジモリはアメリカがペルーに対して影響力を行使するために保持している駒である。もし現政権がもっと上手であったなら、そのまま飼い殺しにすることもできた。しかし今回の動きは、フジモリ再登板の方がメリットがあると踏んだということだ。

もっとも、これが失敗して、チリ政府が寝返ってフジモリの身柄をペルー当局に引き渡してしまっても、日本政府は非難されるかもしれないが、アメリカは痛くも痒くもない。

また、フジモリはペルーに対しての駒であると同じに、日本に対する駒でもあることに注意しなければならない。ここまで深入りしてしまった以上、日本はもう他人の振りはできない。失敗すればペルーとは断交、麻生さんの首が飛んでもおかしくない事態だ。


と、ここまで書いて、役者が一人足りないのに気がついた。中国である。というのは、フジモリ追放後のペルーは親中国国家になっていたのだ。だからペルー政府は日本に対してここまで強気に出られるのである。

つまり、フジモリ再登板問題は形を変えた日中問題になっているわけなのだ。これで彼が復活できれば、もちろんODAの復活も期待できるってわけなので、ここは一つフジモリさんを応援したくもなるだろう。そして立ちふさがるのは、またしても憎き中国である・・・

もちろんアメリカとしても、ペルーが中国の影響下に入るようなことは避けたいと思うだろう。場所的にもパナマ運河から近いし、なんと言ってもペルーには麻薬利権がある。しかし、フジモリを追い出したのは自分たちであるし、となりの隣りのベネズエラでさんざん失敗してるから、直接には手を下しにくい。

そこで書いたのが、フジモリ再登板のシナリオである。こういうこともあろうかと、密かに日本で飼っておいたのである。しかも今度は、日本政府も使うことができる。

つまりこれは、米日同盟による世界新秩序確立への第一歩ではないのか。この時期にブッシュが来日する目的の一つがそれなのではないのか。米軍再編の問題なんてもう決まったことだ。御大わざわざのご出馬には及ばない。事態はもっと先に進んでいるのだ。


結論。小泉首相は今こそ自己責任の一言をフジモリ氏につきつけるべきなのである。日本政府はあなたの個人的な野心に手を貸すつもりはないとはっきりと言うべきなのである。

もしそれを言うことができるのなら、私の心配はすべて杞憂であると言えよう。


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ちょっとでも気になった人は


この記事へのコメント
すごーくありそうな仕掛けではありますねぇ。

陰謀論どころか、とてもリアルで説得力のあるシナリオだと思いますよ。

ええ、本当にありそうです。
今の大統領はヘマやりまくった、米国としては排除したい手駒でもあるでしょうしね。

やはり、現地に近いところにいるだけありますねぇ♪流石です!
Posted by 三輪の何某 at 2005年11月17日 22:51
こんばんは、初めてコメントさせて頂きますが、今日はTBとエントリーのご紹介をありがとうございました。

なるほど…どうも気持ちの悪さしか残らない出来事で首をひねっていました。

気持ちが悪かった原因は、媚中BBCが決定でもない「ペルー政府、日本から大使館撤去を宣言=国交断絶」という“感じ”の記事を真っ先に出した事です。ご存じかも知れませんが、BBCが日本に絡めて書く内容は、大体逆に読むと正しい情報が出て来ます。

一方のブッシュ政権にもっとも近いと言われているワシントン・タイムズは非常に中立な記事。どっちも応援はしていませんが、チリはペルーとの海峡紛争解決のいけにえとしてフジモリ氏を利用しようとしている、などという情報を盛り込んで、なんとなくフジモリ氏をフォロー。

また、元ペルー政権がトンデモ政権である事もオマケで追加してありました。

ちなみに、故笹川会長の元秘書如きが、高級な着物でチャラチャラ歩き回る奇妙な女。各国の大使館なんぞにもアチコチ顔を出している。

本日の非国際人さんのエントリーを拝読して、なんとなく糸が見え隠れした気がします。勉強になりました、ありがとうございます。
Posted by 喜多龍之介 at 2005年11月17日 22:51
トラックバックありがとうございます。
確かに自然に推測するとそれもありえると思います。
曽野綾子さんは日本船舶振興会ですがなぜ関係あるのか不思議でした。
また読ませて頂きます。

Posted by ニュースの視点 at 2005年11月17日 23:23
>三輪の何某さま
楽しんでいただいたようでありがとうございます。ところで、こういうことを推理すること自体はいいんでけど、その意味するところを知ってしまうと、より憂鬱になったりします。知らないほうが幸せだったのかも、と。
ちなみにサンパウロとペルーじゃ、全然近くないですってば。アマゾン川を遡って行けば隣国ですが。

>喜多龍之介さま
はじめまして。実は貴殿の記事は参考にさせていただいております。
私も、いわくつきの「ワシントン・タイムス」がわざわざ取り上げるのは、何か意図があるはずだと引っかかってました。
背後にもっと大きな絵があって、フジモリと日本は本質を隠蔽するためのただの狂言回しかもしれません。

>ニュースの視点さま
はじめまして。貴殿の記事もよく読ませていただいております。
曽野綾子さんって、エッセイストとしては別に嫌いではないのですが、中曽根内閣の頃から私的諮問機関出まくりで、どうもきな臭い感じがしています。ただのお飾りではないと思っています。
Posted by 非国際人 at 2005年11月18日 20:36
TB&コメントありがとうございました。
僕はこの問題の背後にアメリカと日本の影を認識していたのですが、確かに中国の存在もかなり重要ですよね。ベネズエラのチャベスはアメリカの代わりに中国へ石油を売ると言うてますし。ますます目が離せなくなりました。
Posted by たちばな at 2005年11月20日 23:13
たちばな様
ご訪問&コメントありがとうございます。私も中国がそこまで迫っていたとは想定外でした。油断していると本当にオセロの駒がひっくり返るように中国に包囲されかねません。チリですらいつのまにか中国と親密になってしまったようですし。
Posted by 非国際人 at 2005年11月22日 04:16
はじめまして!
 メキシコ在住のメキシコのおばちゃんです。

フジモリ記事、とっても、興味深くよみました。

私のメルマガ「おばちゃんの偏見メキシコニュース解説」でフジモリニュースを取り上げた事があるのですが、非国際人さんの記事を読んで、深い読みで解読されているので、とっても勉強になりました。

今後の動向、気になるところで、また、是非教えてください。

私のHP 「メキシコのおばちゃん」からリンクさせてくださいね。
Posted by メキシコのおばちゃん at 2005年12月28日 02:15
>メキシコのおばちゃん 様
はじめまして!弊記事をお読みいただきましてありがとうございます。
南米は、非常に謎に満ちた所です(笑)。とんでもない事件が突然起こるし、マスコミの報道も偏っているので外から見ると起こっていることの意味が理解できません。
しかし、日本でかつて起こったこと、アメリカや中国との関係などから類推してみると手がかりが見えるかもしれないと思って試みたのがあの記事です。
気に入っていただいて、大変光栄に思います。これからもよろしくお願いします。
Posted by 非国際人 at 2005年12月30日 02:06
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