2005年11月19日

まだまだ書くぞ!フジモリ問題



フジモリ氏の話ばかり書いていたら、確実にアクセスが減ってきた。でもまだ書くべきことは残っている。結論を先に言ってしまうと、日本は南米でも利用され捨てられる運命だということだ。

どうも一般的に南米には関心が薄いようだが、当ブログはそもそもブラジル在住の管理人が在住者独自の視点からニュースを伝えるという建前で始めたものであった。それが911総選挙の結果を前にして国内政治に対して何か言わなければならないという思いに駆られてここ今日に至っているものである。

もちろん日本国民として国内情勢には常に関心を払い続けてはいるのだが、ここブラジルにすでに6年住んでみて思うのは、外にいるからこそ見えるものがあると言うことなのだ。日本は鎖国しているわけではないし、アメリカも特定アジア三国も常に日本のことばかり考えてくれているわけでもないのだが、多くの人の書くものなどを読むと、そんな当たり前のことすら忘れているのではないかと思うのだ。


いきなり大げさなことを書くが、まず、世界的に大きな流れとして、アメリカの存在感が薄くなったという事が言える。これはアメリカの裏庭と呼ばれている南米でもそうだ。

例えば一番良くわかる例が、為替の動きである。2、3年前まではブラジルの通貨レアルの相場はドルに全く連動していたものである。アメリカで何かいいニュースがあると、レアルも買われ、悪いニュースがあると、レアルも売られる。つまり、ドルの動きが増幅されて現地通過に反映されるのだ。

ところが去年当たりから状況が変わってきて、ドルが下がってもこっちの通貨はお付き合いしないようになった。つまり、経済のファンダメンタルズがドルに依存しないようになってきたのである。具体的に言うと、外貨としてユーロを保有する割合が増えたという事だ。

しかし、そうは言っても依然としてアメリカは大国であるから、南米各国としてはアメリカに対して合従連衡さまざまな動きを模索している。ブラジルは南米を統合し、その盟主を目指そうとしているが、その一方ではエクアドルのように自ら進んで属国化してしまうところもある。

これを左翼のおめでたい人たちは、「米帝国主義に対する民族主義の勝利である」みたいなことを言って絶賛しているわけなのだが、ホントの話をしてしまうと、この南米特有の寡頭支配体制は全く変わっていない。彼らの組む相手がこれまではアメリカ一辺倒だったけど、これからは欧州や中国とも組めるようになったというだけの話だ。

その上、さらにいやらしいのは、このアメリカvs欧州・中国っていう構図がかつての冷戦構造のようにあからさまな対決という形を取らず、裏ではつながっていて、実は「世界分割の密約」のようなシナリオに沿って動いている可能性があるということ。

いい例がベネズエラのチャベス大統領で、毛沢東主義者を自称している彼は左翼から「民族主義の英雄」みたいに言われているんだけれど、実はチャベスの権力の源泉は石油にあり、しかも相変わらずアメリカに売っていたりする。

つまり反米はただのポーズなのだ。しかし自分の独裁の正統化のために反米を標榜することは極めて便利だし、アメリカにとってもチャベスに反米でいてもらうことは軍産複合体にとって都合がいい。だから、アメリカも決して本気でチャベスを潰そうとはしない。


そういう意味でフジモリ問題を見ると、大変面白い事が見えてくる。

まず、フジモリ陣営・・・・日本 (アメリカ)
ライバルのトレド陣営・・・中国  アメリカ

トレドっていうのは、そもそも親米政権で、流行の民営化などを一生懸命やっている最中である。しかしフジモリの方も、前回の記事の推測が正しいなら、アメリカの内諾を得て動いているはず。つまり、アメリカはどっちに転んでもいいようなシナリオを最初から用意している。それに対して、日本ははじめからトレド政権など相手にしていないように思える。これじゃまるっきりダメだ。

日本はただでもフジモリを匿ったことで国際的にアゲンストの風が吹いているのに加え、これでフジモリが負けてしまえばペルーにおけるすべてを失うことになる。そうなった場合ペルーの利権は米中で分け合うことになろう。南米全体における日本のステイタス低下は避けられまい。

もちろんフジモリが勝つシナリオがあってもいい。アメリカにとっては、彼が復権してかつてのように、テロに断固とした「圧政」をしてもらったほうが望ましいのだから。しかし、別に負けても構わないように保険はかけてある。この辺が後先考えない日本との大きな違いだ。

そもそも、トレドだって大統領に当選したときはフジモリ政治に不満を持つ貧困層の支持を背景にしたんじゃなかったのかね。それと同じことを今度はフジモリがやろうという。民衆をバカにするのもいい加減にして欲しいものだ。

つまり、南米の反米運動なんてその程度のものなのである。作られたムーブメントなのだ。

そして、たとえフジモリが勝ったとしても、次回米大統領選挙で民主党が勝ったらまたクーデターでも起こして日本に帰ってもらうのだろう。あーバカバカしい。

しょせん日本は国際社会の主役にはなれない。いつも金だけ出させられて終わりである。


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この記事へのコメント
はじめまして。ブログ同盟メンバーです。

フジモリ問題、非常に参考になりました。興味有る内容で、おもしろかったです。

Posted by 無党派リベラル at 2005年11月19日 07:19
フジモリの返り咲きと言うシナリオ、あるかも知れませんねえ。
石原東京都知事も、「知らないよ、何の相談もなしに勝手に国出て捕まったんだから」と、イラついた感じでこの事について答えておりました。

それにしても、日本は外交(と言うか外国への工作)が非常に下手だと言う印象が拭えません。
この下手さ加減は、ある意味表彰モノです。
Posted by 諸行無常 at 2005年11月19日 22:01
フジモリはアメリカの工作員
なのかなあと思ってたんですが・・・
そうでもないみたいですね。
アジアでは中国が圧倒的な存在感を
示しつつあります。
ロシアもそれに絡みたいみたいです。
プーチン大統領がAPECに参加する
意向を示してました。
Posted by @ at 2005年11月20日 02:07
非国際人様こんにちは。フジモリ元大統領を巡る動きは非常に興味深く読ませて頂きました。
 今回のAPECにおける小泉首相の2国間首脳会談は、韓国、カナダ、チリの3国のみだったそうです。一体、チリの首脳とどのようなやり取りがあったのか興味が湧きますが、日本の新聞ではチリとの首脳会談の内容を全く伝えておりません。今後も記事を楽しみにしております。
Posted by T.N.君の日記 at 2005年11月20日 18:04
このシリーズも大変おもしろかったです。
しかし内見ても外見ても、頭が痛いですねえ。
Posted by 素楽 at 2005年11月21日 15:55
>無党派リベラルさま
ご訪問ありがとうございます。これからもよろしくお願いします。

>諸行無常様
石原氏は本当に知らないのかもしれませんね。しかし中国が絡んでるとなると話は厄介です。彼らの性格から言って、やすやすとペルーから引き下がるとは思えません。

>@さま
最近の中国のばく進を思うにつけ、感情的に中国を嫌っている場合ではないと感じています。ロシアが中国と歩調を合わせつつあるのが非常に不気味ですね。

> T.N.君の日記さま
その後お元気なようで何よりです。チリとの首脳会談の内容については、外務省のホームページで見られます。どれだけホントのことを言っているのかわかりませんが。
http://www.mofa.go.jp/mofaj/kaidan/s_koi/apec_05/s_gaiyo.html

>素楽さま
楽しんでいただいて何よりです。さすが壊し屋純一郎、我々を休ませてはくれないようです。
Posted by 非国際人 at 2005年11月22日 04:45
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